こんにちは、阿波むすめです。
「傷病手当金」ってご存知でしょうか?
病気やケガで会社を休んだらもらえるお金ですが
元気なときは必要のないものなので
気にも留めていませんでした。
切迫流産で休職した際
会社の人事の人から「傷病手当金がもらえると思いますよ」
と言われて初めて意識したのですが
なにより知りたかったのが
いくらもらえるんだろう?
ということ。
人事の人から聞いたり、自分でも計算していたのですが
予想していた金額の半分しかもらえませんでした。
それは勘違いしていたことが2つあったため。
多くの方が同じ勘違いをしやすいのではないかなと思い
記事にすることにしました。
計算式にあてはめただけの金額はもらえない
ネットや本で調べると、傷病手当金の計算式は
「月給÷30×2/3×(休んだ日数-3日)」と書いてあります。
この計算式自体は間違っていません。
<月給24万円で、29日間休んだ私の場合>
- 計算式にあてはめ:24万÷30×2/3×(29-3)=138,667円
- 実際にもらった額:64,407円
半分以下ですね…
正しい計算方法と
勘違いしていたポイントをお話ししていきます。
計算方法をお話しするために
傷病手当金がもらえる条件が大事になってくるので
そこからお話しします。
条件は知ってるよ!って方は、読み飛ばしてくださいね。
傷病手当金とは?
傷病手当金とは、病気やケガで会社を休み
会社から十分な給与がもらえないときに
健康保険からもらえるお金。
健康保険の種類 | 加入している人 | 傷病手当金の有無 |
---|---|---|
協会けんぽ (全国健康保険協会) | 中小企業に勤務 | 〇 |
組合健保 (健康保険組合) | 大企業や関連会社に勤務 | 〇 |
共済組合 | 公務員・私立学校の教員 | 〇 |
国民健康保険 | 自営業・フリーランス | × |
自分がどの保険に加入しているかは、ご自身の健康保険証のココ↓を見ればわかります。
私の場合は「健康保険組合」なので
ここからは健康保険側のことを
「健保組合」と呼びますね
傷病手当金がもらえる条件
- 業務外の病気・ケガで療養している
- 連続で4日以上仕事を休んでいる
- 医師が「働けない」と認めている
- 給与の額が傷病手当金よりも少ない(ココが大事)
①業務外の病気・ケガで療養している
仕事中・通勤途中でのケガや病気はダメです(労災がおりるので)。
「切迫流産」は仕事に無関係なのでこの条件はクリアでした。
「つわり」「切迫早産」も医師の証明があればOK。
また、「療養」でないといけないので、美容整形などはダメです。
②連続で4日以上仕事を休んでいる
最初の3日分はもらえません。4日目以降からもらえます。
例えば10日間休んだら、10-3=7日分。
この10日間というのは、土日祝関係なく10日です。
たとえば10/1(木)~10/10(土)休んだとしたら
土日を挟んでいますが、10日間休んだと考えます。
③医師が「働けない」と認めている
自己判断ではダメです。医師の証明が必要。(後ほど申請書の例あり)
医師の証明があれば、入院していなくても、自宅療養でもOK。
私も自宅での絶対安静で、入院はしていません。
④給与の額が傷病手当金よりも少ない(ココが大事)
傷病手当金は、給与が十分にもらえない場合に
経済的負担を助ける意味合いでもらえるものなので
そもそも給与が十分にもらえていたら
傷病手当金はもらえません。
この「十分」という基準は
「給与の額が傷病手当金よりも多い」と、十分だと判断されます。
「傷病手当金よりも多くもらってるんだから、助ける必要ないでしょ」という…
ちょっとでも給与が減ったらそのぶん補いたいんですけどね😅
そうはいっても
給与<傷病手当金 の場合だけ
その差額が支払われます。
私はココを分かっていませんでした。
傷病手当金の正しい計算方法
- 1日分の傷病手当金を計算(月給÷30×2/3)
- 日数を計算(休んだ日数-3日間)
- 実際にもらった給与の、②と同じ日数分を日割り計算
- ①×②-③(傷病手当金と給与の差額を計算=実際にもらえる傷病手当金)
私は②までの計算しかしていなかったことがわかります。。
では、私の例で計算していきます。
月給24万・休んだ期間3/24~4/21(29日間)
月給(24万)÷30×2/3=5,333
- 「月給」は、実際にもらっている給与ではなく、直近12カ月分の「標準報酬月額」の平均
- 「÷30」は単純に計算するのではなく、実際は複雑な計算式で、健保組合のシステムで計算する
給与は毎月変動するし
役付手当や通勤手当も関係するので
自分で計算すると間違えるよ!
「直近12カ月分の標準報酬月額を教えてください」と
会社に聞くのが手っ取り早い!
健保組合は申請前には計算してくれないので
「標準報酬月額」を会社に聞いて
それを単純に30で割った額をおおよそ日額として把握しておきます。
月をまたいでいる場合、単純に29日間-3日間=26日間ではない
3月→3/24~3/31(8日間-3日間)=5日間
4月→4/1~4/21=21日間
- 3月は給与の方が傷病手当金よりも多いため、対象にならない(後で説明します)
- 3月で3日間がマイナスされているため、4月は休んだ期間まるまる対象になり、今回の日数は21日間
③給与を②と同じ日数分で日割り計算
実際もらった給与そのままではなく、傷病手当金と同じ日数分に日割り計算
4月分給与(手取り額):67,981(4/22~4/30勤務の分)
67,981×21/30=47,587
5,333×21-47,587=64,406円・・・実際にもらえた額
給与<傷病手当金の場合だけ支払われ、
休職した29日間の給与ではなく、月ごとの給与でみる
- 3月は給与の方が多かった→傷病手当金は出ず
- 4月は給与の方が少なかった→傷病手当金が出た
日額×日数分ではなく、傷病手当金と給与との差額がもらえる
その月まるまる休んだわけでなければ
働いた分は給与が出るので
同じ日数分で計算した金額が
傷病手当金10万・給与4万 の場合
10万円ではなく、10万-4万=6万円 がもらえる
あんまりもらえないんだな…とくじけそうになりますが
この期間働いてないのに少しでももらえるなら
毎月保険料払ってるんだし、もらっとかんと!!
と思い直して、ぜひ申請してください。
傷病手当金がもらえなかった例
3月分は給与のほうが多かったので
傷病手当金はもらえませんでした。
3月分給与(手取り額):172,474(3/1~3/23までの分)
先ほどの計算式にあてはめていきます
- 傷病手当金の日額:5,333
- 日数:3/24~3/31(8日間)-3日間=5日間
- 3月分給与の日割り計算(5日分):172,474×5/31=27,819
- 差額計算:5,333×5-27,819=△1,154(給与の方が多い)
3月分はもらえなかったものの
3月分も申請したことによって日数がカウントされ
4月分は3日間マイナスされずに済んだので
申請してよかったです。
- <休職期間が月をまたがない場合> 給与のほうが傷病手当金よりも低い場合、申請する
- <休職期間が月をまたぐ場合> それぞれの月で、給与の方が傷病手当金よりも低い月があれば、どちらの月も申請する
のがいいと思います!
傷病手当金の申請方法・記入例
申請するタイミングは休職中でもいいですが
復職してからのほうが休んだ期間がはっきりしているので申請しやすいです。
ただし月ごとの申請になるので
休職が長引く場合は
月が変わってから前月までの分を申請できます。
会社(人事総務部あたり)に「傷病手当金の手続きをしたい」と話せば
申請方法を教えてくれます。
<私がもらった説明書と申請書の記入例>
本人記入欄に記入
裏面は会社と医師が記入
- 会社から申請書をもらう(月ごとに用紙が必要)
- 本人記入欄に、記入できる部分だけ書く
- 医師記入欄に記入してもらう(1通300円程度)
- 医師記入欄を参考に、本人記入欄を埋める
- 会社に提出→会社から健保組合に提出
- 健保組合で審査後、給料日に給与とあわせて会社から振り込まれる
- 「傷病名」は裏面に医師に記入してもらってから、そのとおりに表面に記入(私・会社・医師の3者が同じ内容を書かなければならないため)
- 「請求期間」は、裏面の医師記入欄に、ふせんやえんぴつ書きで「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日」と休職した期間を案内しておく(間違えて書かれないように)
- 「療養状況」も先に裏面に医師に記入してもらい、それをほぼ丸写しでOK
傷病手当金がもらえるまでの期間
申請書を会社に提出してから2か月程度かかりました。
これは健保組合の事務処理の問題なので、業務が立て込んでいたり、内容に不備があったり、審査が長引くと、支払いは遅くなります。
民間の医療保険のように
申請してすぐもらえるわけではないと
気長に待っていたほうがいいですね🦒
ちなみに私は3月分はもらえなかったのですが
もらえない場合の通知は早く、2週間かからないくらいでした。
支払いが決定すると、こんな通知がきます。
計算式は一切書かれていないので
健康保険組合に電話して聞きました(お金のことは聞かないと気が済まない…)。
会社はこの通知書をただ横流しで渡してくれるだけなので
詳細を知りません。
通知書に電話番号が載っているので
健康保険の番号を伝えれば内容を教えてくれます(本人確認される)。
退職後ももらえる?
ちなみに、休職したまま退職しても、一定条件を満たせば退職後も傷病手当金がもらえます。
興味のある方は、おかねの専門家Q&Aサイトもご覧ください。
まとめ
こうして振り返ってみると
実際に申請してみないと分からなかったことがたくさんありました。
- その月の給与が傷病手当金よりも少なければ、傷病手当金がもらえる
- 給与と傷病手当金は、同じ日数分で比較する
- 日額×日数分がもらえるわけではなく、給与との差額がもらえる
- 休職期間が月をまたぐ場合は、どちらかの月でも給与が傷病手当金よりも少なければ、どちらの月も申請する
読んでいただいた方に、すこしでも参考になる部分があれば幸いです。
療養中の方のご快復をお祈りしています。
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